不動産取引のチェックポイント
  1. 真正な売主であるか?
 他人所有のものを自分の所有物であるかのごとく、売却にかけるようなことになっていないか? これは夫婦、親子、兄弟であっても本人以外が、売主になることはできません。
  2. 登記名義人と所有者が同じか?
 所有者がすでに第三者に売却済みであっても、中間省略登記のため登記名義を移していない場合もあります。又、取得した時に、何かの都合で本人以外の名義にしている場合もあります。こんな場合、登記名義人と真正な所有者とは異なり、登記名義人といえども、売主たり得ません。
  3. 権利書記載の住所と現住所(印鑑登録をしている住所)が異なる場合
 実際に売却して、買主に移転登記するときでもよいが、権利書記載の住所を変更する必要があります。 この場合、何回も転宅している方は住所移転の不連続で移転登記ができない・・・といったことのないように、事前に司法書士にチェックをしてもらっておいたほうがベター。
  4. 相続登記未了のものは売れない
 相続物件を売却にかける前には、必ず、相続登記を完了しておくことが肝要です。兄弟等、複数人が相続した場合、全員の同意のもとに売却してください。できれば、交渉窓口を一本化できるように話し合っておくのがスムースな売却のコツです。
  5. 権利書(登記済み証書)の確認
 売却にかける前に、売買対象物件すべてについて権利書があるか・・・土地(一筆とは限りません)・建物(増築等がある場合はその分も)を確認しておきます。もし、一筆でも欠けている場合、権利書に代わる保証書というものを司法書士で作成してもらいます。
 普通、売買契約締結時には権利書は必要ありませんが、個人間直売買の場合、買主の安心感のためにお見せするのがよいでしょう。
* 地番ごとに一筆、二筆という数え方をします。
  6. 登記簿謄本の確認
 買主側としては、売主の権利書を契約前に確認できませんので、直近の登記簿謄本を法務局で申請して、土地、建物の権利関係(表題部、甲区・所有権に関する事項、 乙区・所有権以外に関する事項)を確認します。
 確かに売主名義の不動産であるか、普通の銀行ローンの抵当権だけか、銀行又は銀行系の保証会社以外(例えば、サラ金や債権者が個人名)の抵当権、根抵当権、各種仮登記があれば、その抹消を売主側がどうするのか、差押、仮差押がないか、賃借権登記がどうなっているか・・・・・ 等々を確認します。
 104で法務局を調べ、法務局の場所と、念の為、対象物件の所管法務局であるかを確認。 謄本申請や閲覧申請(今は要約書に変更)は所有者でなくても誰でもできます。申請には住居表示ではなく地番・建物番号が必要ですから、事前に売主様に聞いておきます。(閲覧で一件500円)
 一般的にサラ金やマチ金といわれる金融業者の類の抵当権や、賃借権がついている場合、その他にも登記簿に現れていない借金がある場合があります。売主が売却することが債権者に知れると、移転登記までに仮登記や本登記を設定してくる場合があります。時には権利書と実印を預けさせられてしまっている場合もあります。この点で、普通の住宅ローン以外の権利が設定されている物件は買主としては避けるべきです。少なくとも手付金を渡さず一括取引にすべきです。これは仲介業者が間に入っても同じことだと覚えておいてください。
 処分禁止の仮登記や、差押、仮差押、その他あまり見かけない予告登記等がある場合には素人判断は危険です。少なくともCtoC取引には馴染みません。どうしても取引したい場合は不動産業者よりも司法書士か弁護士に相談してください。
※ 不動産は一つとして同じものはありませんが、似たようなものは幾らでもあります。ゼッタイにあせらずに気長に次の物件がでるのを待ちましょう。これを逃したらこんないい物件はもう手に入らない・・・・なんて業者の常套文句のようなものを深刻に考えるのが失敗の始まりです。
  7. 債務残高の確認
 売主は、住宅ローンの残高を銀行ローンの償還表等で確認しておきます。この場合、ボーナス時返済を利用されている方は、毎月返済分とボーナス返済分の償還表が別になっていますから、見落とさないように、しっかりチェックしましょう。銀行に確認するのも良いでしょう。 又、住宅ローン以外で借入金等があり、普通抵当ではなく、根抵当権が設定されている場合、債権者にいくら払えば抹消してもらえるのか、できれば書面で確認をとっておきます。
  8. 債務超過の場合
 売主は、債務残高の方が売却金額よりも多い場合には、その差額の資金手当てをどうするか、準備が必要です。とに角、借入金残高全額を返済しないことには、抵当権の抹消を銀行等の債権者はしてくれません。売主は、売買契約締結後、抵当権抹消ができない・・・となると、売主違約で手付倍返し(預かった手付金の倍額を、買主に支払うこと)になります。必ず、売りに出す前に確認しておくことです。・・・・ 重要なチェックポイントです。
 債務残高の方が多いとか、取引額と債務残高に差があまり無い・・・ といった場合、手付金ゼロで売買契約だけを締結し、残金決済時に事実上の一括取引にすることがあります。 逆に買い手としては、このような物件には手付金を払ってはいけません。どうしても買う・・・場合は一括取引に限ります。
 時々、このような物件の売主が、「手付金を渡さないのはオレを信用していないのか」・・と迫る場合がありますが、これは信用する、しない・・・・以前の問題で、不動産取引のイロハのイです。こんな売主の場合、買主としては 「ご縁が無かったですね・・・」 と話を白紙に戻して、スタコラサッサと逃げるが勝ち・・・と覚えておいてください。
  9. 未登記建物や共有施設の有無
 一戸建ての場合等で、未登記建物があると、買主に住宅ローンが実行されません。これは登記済み建物のみに抵当権を設定していても、いざ、抵当権の実行(例、延滞による競売等)という段になって、未登記部分には抵当権が及ばないため、債権者の貸金 回収が困難になるからです。取引前には必ず、未登記部分がないかチェックしておき、あれば司法書士に登記申請をしてもらいましょう。
 又、マンション等で、集会所等の共有施設があり、持分登記がある場合、これの持分移転ができるように確認しておきます。これは一戸建ての前面道路等で共有持分になっている部分がある場合も同じです。
  10. マンションの駐車場
 駐車場はマンションによって扱いが異なります。
   ・ 所有権として分譲され登記されているもの
   ・ 専用使用権として当初分譲されたもの
   ・ 管理組合等からの賃貸借で引継ぎのできるもの
   ・ 管理組合等からの賃貸借で引継ぎのできないもの
等に分かれます。契約金額にも影響することですから、再確認しましょう。
 買い手が駐車場を必要としない場合、同じマンションの区分所有者に対して・・・に限り、駐車場だけを別売りにできます。
  11.マンションの管理費、修繕積立金
 管理費や、修繕積立金の増額計画がある場合や、大規模修繕の為の一時金が発生する可能性がある場合には、ハッキリと買い手に明示する必要があります。
 管理費・修繕費等の延滞がある場合、マンション区分所有法で、買主が売主の延滞分を引き継ぎ支払いさせられますのでご注意ください。
 管理規約は毎日の生活で重要な規範です。管理費等だけでなく、快適な共同生活をするために、入居者の義務と責任・約束事を記載していますから契約前に知っておきましょう。
  12. 公簿取引・実測取引
 一戸建てや土地取引の場合、登記簿上の面積と実際の面積が異なる場合があります。きちんとした分譲地の場合はほとんど問題ないと思いますが、古くからの住宅地等では念のために実測取引にする場合があります。その場合の実測費用(土地家屋調査士、測量士)の負担、実測と契約面積の誤差についての清算方法も取り決めておきましょう。契約書には公簿取引か実測取引かを明示しておきます。
 公簿取引の場合、後日、買主又は売主が実測をして過不足があったとしても、価格の増減や損害賠償の請求はできません。
 いずれにしても、地積測量図の有無を確認し、無ければ測量士に作成依頼しておいたほうがベターです。
 ご存知だと思いますが、マンションの場合、パンフレット面積と登記簿の専有面積は異なります。
    登記簿面積 ・・・・・・・・ 専有部分の壁の内のり面積
    パンフレット面積 ・・・・・ お隣同士の壁の中心から中心までの面積
 中古マンションの場合、契約書には登記簿面積で表示しておくとお互いに勘違いがありません。
  13. 境界確認と境界塀等の所有権の確認
 一戸建てや土地取引の場合には、官民境界(公道等と私有地との境界)、民々境界(その私有地と接する全私有地との境界)を、境界杭や境界鋲で売主側が買主側に示しておきます。もしあいまいな場合や隣地の越境がある場合、隣地所有者と立会いのもと、どうするかを協議・解決、場合によっては測量士をいれて正式図面を作成しておきます。
 又、境界にある塀等の所有権がこちらにあるのか、隣にあるのか、それとも共有物かを売主、買主、隣地所有者が立会いして確認しておきます。
 越境について、例えば、お隣の屋根がでっぱっている場合、買主が同意すれば、将来お隣が建て替えする時には、境界内で建てるという念書(印鑑証明付)を取り交わし、買主に引きつぐ・・・ 等のケースもあります。
 この他、隣地や道路と宅地の高低差についても注意をして、境界が段差の上側か下側か、又、雨の日に雨水や土砂が流れ込んだり、流れ出したりしていないか・・・、  水が高い方から低い方へ流れるのは当然ですが、排水施設(側溝等)があるか、機能しているか、会所桝はどうなっているか等をよく確認します。
  14. 私道負担
 私道の有無は売り情報の段階で明示しておきます。有りの場合はどの部分で、何uか・・・を確認し、土地面積に含めて表示するのか、別表示にするのか、を決めておきます。最近はほとんど別私道・・・と表示のケースが大半です。
 私道なら必ず、持分があるかないかを確認します。私道なのに持分が無い、余分なものを買わなくて良い・・・と喜んではいけません。持分の無い私道は通行権や、後日、配管のための掘削時や建て替え時に問題がでてきます。
  15. 道路幅員と宅地の接し方 ・ 計画道路の有無確認
 幅員4m以上の道路に、間口2m以上接していることが、建築又は再建築するための最低条件です。道路状態であっても、それが建築基準法上の道路であるかどうかを念のため、市役所で確認しましょう。
 特に一戸建てや、土地取引の場合、その物件が計画道路にかかっていないかを必ず確認しておきます。計画道路には20年も30年も前に計画だけ決定しているが、実行がいつになるか分からないようなものと、既に事業決定しているものがあり、それぞれ建築上の制限があります。いずれにしても計画道路にかかっている物件は住宅又は住宅地としては不向きです。又、土地の評価も計画道路内の物件は市場性に欠けるため低くなることを覚えておきましょう。
  16. 給排水・ガス・電気設備
 建物付きの場合はほとんど問題ありませんが、土地取引の場合は
 ・ 給水管が何処まで来ているのか、前面道路に埋設されていてもそれが公設管か他人の私設管か、分岐して宅地へ引けるのか(埋設管の太さにより分岐できない場合がある)
 ・ 排水管(家庭用雑排水、し尿汚水)が前面道路、又は宅地内にきているか
 ・ ガス管もおなじ
 ・ 電柱の位置
をよく調査しておきます。思わぬ分担金や負担金がかかることがあります。
 建物付きの場合でも、給排水、ガス管が隣地等の他人地を通っている場合や、逆に隣家の配管が自分の所を通っている場合もあります。水道局やガス会社で教えてくれますがこんな物件は避けた方がベターです。
 又、戸別浄化槽の場合、昔の建売り等で、お隣同士で共用になっているケースもあります。このほか、公共下水の配管が前面道路に既に設備されていても、トイレからの直放流の工事をせず、戸別浄化槽のままのケースもあります。戸別浄化槽の場合、汲み取り会社と契約して浄化槽にたまる沈殿汚泥の清掃維持管理が必要です。
これらはいずれも売主から買主に明示して、納得ずくでの取引が肝要です。
  17. 滅失済みの建物の登記が残っていないか7
 土地取引をする場合、旧建物は解体撤去済み、現状、更地なのに、登記上建物が残っている場合があります。新しい建築物の登記ができませんので売主側で解体業者の証明をつけて滅失登記を完了しておいてください。
  18. 土地取引の場合は建築士に事前相談
 このほか土地の場合は、建築基準法上の道路か、建ペイ率、容積率は?、道路幅員の関係でセットバックが必要でないか、道路斜線・北側斜線等の関係で、考えているような建物が建つか、建たないか、又、擁壁の再構築が必要か、埋蔵文化財包蔵地でないか・・・・等々について専門家や建築会社・プレハブメーカー等に現地を見せて、調査をしてもらい意見を聞くことが肝要です。
  19. 既存違反建築物でないか
 建物付きでも、現在の建築基準法上、再建築するときに同じ面積のものが建たない場合があります。また、建ペイ率、容積率オーバーになっている場合は住宅ローンが融資されない場合もありますので注意をしてください。
 仮に100坪の土地で、 建ペイ率 60%、 容積率 200%の場合、
   一階部分が60坪、 建物総面積で200坪まで建てられる・・・ という意味ですが、道路の幅員や斜線制限で容積率の限度一杯を使えない場合が多くあります。
 建ペイ率、容積率は都市計画課で調べます。
  20. 建築確認申請書・検査済み証の確認
 建物を建てる時に申請した建築確認申請書と実際に建ったものが異なる場合、検査済み証がとれていません。建物に疑問がある場合は検査済み証の有無も確認するのが基本です。マンションの場合は別にして、一戸建ての場合は売主が保管しているはずですから、見せてもらいましょう。
  21. 建物の維持管理の状況
 マンションでも一戸建てでも、構造体、設備、内外装の実態について、売主、買主間の認識誤差がないように、できるだけ情報開示を売主側がしておくのが、後日のトラブル回避のポイントです。
 マンションの場合は特に設備関係(給湯・浴室・洗面・トイレ・キッチン)の耐用年数を意識しておくことが大事です。
  22. 買主の資金計画
 資金計画表を参考に、取引代金だけでなくトータルに把握しておき、資金ショートが起らないように、又、毎月の返済に無理がないように、慎重に計画しましょう。
 中古マンション等で住宅金融公庫利用希望の場合、マンションごとに公庫指定の建築士事務所で利用の可否について、調査・判定を受ける必要がありますのでご注意ください。
  23. 売主の借入金、繰り上げ返済の事前連絡
 売主は、買主から代金を受け取った時、同時に移転登記と既存の抵当権等の抹消が必要です。抹消には抵当権者の抹消関係の書類が必要です。銀行等抵当権者の本店から書類を取り寄せる日数の余裕をみて、事前に連絡を各抵当権者に連絡をしておかなければ、間に合わなくなります。特に債権者が複数になっている場合、取引の場所に同時刻に集まってもらう必要があり、時間調整が必要です。この他、債権者によっては一括繰り上げ返済に条件をつける場合や、繰り上げ返済月、返済日を指定される場合もあります。
  24. 契約書でお互いに確認
 交渉過程ででてきたもろもろの打ち合わせ事項を、別に難しい法律用語でなくても良いですから、分かりやすく記載して、お互いに確認し、捺印することが大事です。一旦、契約したら ”あの時、こう言った、ああ言った” ということが無い様、すべて契約書内容により、協議、解決するのが基本です。
ローン特約は必ず記載しておく買主の利用予定のローンが申請却下された場合、契約を 無条件で白紙解除し、すでに授受した手付金、内金等を無利息で売主から買主に返却する旨、記載しておきます。
  25. 買主は契約日までに銀行ローンの事前相談をしておく
 念のために契約書にはローン特約は入れておきますが、必ず、事前相談をして、了解をとっておきましょう。その時に指定司法書士も紹介を受けて、取引金額以外にかかる諸経費(特に、登録免許税や取得税の概算他)も聞いておき、資金計画がはっきりメドがたったあと、契約しましょう。
 尚、登録免許税等の計算には固定資産の評価証明書が必要です。これは所有者名義でないと市の固定資産税課は発行しませんので売主の協力が必要です。
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